『卍 MANJI』のみどころ

畠山里美の役作り
畠山さんの芝居を観にいく際に一番楽しみにできるのが、今度はどんな「役作り」をしてくるのだろうということです。

昨年のZAPPAの「猿〜ましら〜」での「ましら」役はいままでの芝居を観ていたわれわれには想像を越えていた役作りでした。アクションといってもいい芝居、幼い役作りが見事でしたね。ある方が「まだ若い女優さんだからこれからが楽しみね。」と言っていたとか・・・。

ましらと対極にあったのが∴紅王国の『御蚕様』の「日向子」役でした。古い家族制度のなかにいて裏方に徹していた日向子の開放を演じたのは、ましらが動であるのに対して日向子は静といえる違いがありました。一人の役者が役を作っていく技・力を今回も楽しみにしたいですね。

今回の『卍 MANJI』では高野長英の許婚の「千越」(ちお)をどう演じきるのでしょうか。
『卍 MANJI』のテーマは「愛と信念」?の物語だそうです。そして千越はこの「愛と信念」の体現者として大きな役割を演じるのではないかな・・・とおもっています。その証拠にパンフレットにも

「この島の男はな、嫁にしたい娘に結婚を申し込む時、
ああやって包丁を渡すんだ。
もちろん断るのは自由さ・・・。
でも、自分のために命がけで戦っている姿を見せ付けられたら。
・・・わかるだろ。」

なんて台詞がかかれているのです。
愛に生きた女性を演じたのは同じくZAPPAの「斬る!」で岡田以蔵を盲目的に愛する「おみの」役が浮かんできますが、今回の『卍 MANJI』はなにしろ明るいらしいです。三島由紀夫の『潮騒』みたいな海洋性の物語だそうです。

ただ、史実上の千越は高野長英の出身地である仙台時代の許婚で、長英が17歳で江戸に上り、それ以降長英は学問の道に進み高野家とは断絶するに至るのです。長英の帰りをひたすら待ちつづけていた悲劇の女性だったのかもしれません。

舞台美術
舞台美術を担当している須藤彰子さんが今回『卍 MANJI』も美術を担当されるそうです。
私は芝居を観にいくときいつもどきどきするものです。チケットを切ってもらい、知っている関係者の方がいるかななどとおもいつつ会場に入って、席につきます。予鈴がなるまで、今回の芝居はどんなものかななどと独り考えるのですが、その間芝居の始まるまで舞台の上にある絵を見ながら想像をめぐらすわけです。「猿〜ましら〜」のときの舞台の背景となっていた町並みを見下ろした絵は印象的でした。火消しの話であることはパンフレットを見て分かっているので、なるほどやぐらの上からの絵なのだなとおもってみていたりしました。
今回の『卍 MANJI』の会場にはどんな舞台が準備されているのでしょうか。楽しみです。



舞台装置・照明

ZAPPAの芝居は舞台装置・照明の工夫が面白いですね。「猿〜ましら〜」での火災現場などZAPPA独特のテンポの速い進行にも対応する仕掛けが随所に見られます。今回は「海」や「鯨」がきっと出てくるはずですか、どう表現するのでしょう。

ZAPPAを観てて感じるのは、舞台では本来ありえないシーン展開の速さではないでしょうか。サス一本で時間・場所がどんどん移っていきます。『卍 MANJI』ではそのシーン展開が更に多いらしいです。今回もあの軽快な場面展開を期待できそうです。

 

 

当ホームページ掲載の画像等は著作権法によって保護されています。
無断で他のHPや他の媒体に転載したり、
それを他へ販売することは著作権及び肖像権の侵害にあたります。