秘法典

とにかく、まず読んでみてください。

野中氏の作り出すあの感覚的な美の世界の裏側に緻密な計算、論理的基礎づけがなされていることに驚くばかりです。

今回の「御蚕様」は昭和の時代を背景として演じられますが、「御蚕様」には時を超越した全く別の「御蚕様」すら想定していることが分かります。

これらに共通して、「家」というものの存在に鋭い考察がなされた結果生み出されたものであるのです。

芝居を観るとき観客は感覚的に芝居全体を捉えざるを得ないわけですが、この「秘法典」なる構想原案を読むことで、より深く、野中作品を理解できるようになるのではないでしょうか。

今回、「秘法典」という名前の通り、内部の資料として作られ、おそらく、この構想原案を元に、劇団内の各部門の人々がイマジネーションを膨らませ、方向性を決定付け、統一された世界、まさに王国を創りあげていくための「秘法典」を、特にこのページのために野中さんに提供していただきました。大変ありがたいことです。

芝居を観る最大の楽しみは、観客としていかにイマジネーションを自ら創り出せるかであり、観劇という創造行為であるとわたしは思っています。

公演までに何度か目を通して、イマジネーションの基礎を作っておきたいものです。

 

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